間違い電話の向こう側

芸術・その他雑記

石の世界

「石ふしぎ大発見展」という全国の石業者が出展するイベントに行ってきた。だいたい半年に1回ぐらいのペースでやっているそうで、24回目の今回は大阪天満橋のOMMビルが会場。


石はもともと好きで、子供の頃は石の図鑑をよく見ていたし、穴を掘って水晶を探したりしていた。ここ最近でも、ビーチコーミングに行って、良い石があれば拾ったりすることがあった。しかし、こういう大きな石のイベントに来たのは初めてで、最初は品物をどう見ていけばいいのかよく分からなかった。来る前はつげ義春の漫画に出てくるような、うらぶれた感じかと思っていたら全然違って、むしろ宝石類ばかりで非常に煌びやかだった。人出もものすごい。

 

店では素人目には珍しく見える宝石類が非常に安く売られていて、ちょっと「綺麗だなー」と思った程度で買っていたらキリがない。まさに玉石混交という感じなのだが、いくつもの店を見ていくうちに、段々と自分の好みが分かってきて、取捨選択がしやすくなった。

 

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ラピスラズリの原石。金色の部分は黄鉄鉱。

出ている店は240店ぐらいあって、加工された宝石類や装飾品を扱う店が多かった。原産国もほとんどは海外なので、店の人も外人が多い。異国の蚤の市さながらの雑多な雰囲気。積極的に客を呼び込んだり、「50%オフダヨー」とか謳っている店もあって、「それ元値を倍にしてるだけだろ!」と心の中でツッコミを入れたりもした。


自分が興味があるのは玉石の石の方で、綺麗にカットされたり磨かれている宝石類にはあまり惹かれなかった。綺麗に加工されると、「パワーストーンつかみどり」みたいな屋台で売られている人工石と見分けがつかなくて面白味がなくなる(実際そういうものも多かったが)。宝石類でも原石の状態だとまた姿が全然違っていて、そちらの方が生々しくて個体差もあるので面白い。

 

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黄鉄鉱。金属系にはどうしても惹かれる。

原石、化石、水石を扱う店もぽつぽつと出ていて、その手の地味な店を重点的にチェックしていった。結果的に全部の店を回るのに4時間ぐらいかかって疲れたが、全然飽きなかった。むしろ楽しすぎて興奮した。正直、美術館やギャラリーなんかに行くより数倍は楽しかった。アマチュアとはいえ作家なのに、こんな感覚でいいのかと思ったりもしたが、実際そう感じたのだから仕方ない。やはり自然物には作意がないので見ていて飽きないのだろう。

 

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ババグーリ(インド原産の瑪瑙の一種)。これは目にした瞬間、琴線がビリビリに震えた。

最近、ギャラリー巡りをしていてもピンと来ないものがほとんどで徒労感に侵されていたのだが、まだこんな面白い世界があったのかと、新しい扉が開いたような気がした。自分で石を拾い集めるのも買うのとは違った楽しみがあるが、やはりこういうイベントでは自力ではどうやっても採集できないような珍しいものが見られるので、行っておいて損はない。次回もまた行ってみるつもりである。