間違い電話の向こう側

芸術・その他雑記

駄目な方へ

あまりにも暇すぎて何もすることがないので、これから毎月1曲、英語の歌を覚えることにした。今までも好きな曲は歌詞を覚えてカラオケで歌ったりしていたが、歌詞の意味などもちゃんと翻訳されたものを見て、じっくり考えながら覚えてみるのもいいのではないかと思いついた。


最近よく聴いていて覚えたのは、イーグルスの「Hotel California」である。イーグルスは親父が何枚かCDを持っていて、昔ちょろっとだけ聴いたことがあるのだが、その時は中学生ぐらいだったため、全く琴線に触れなかった。しかし今になって聴いてみると、この曲の物悲しげなメロディーと破滅的な叙情性には大きく惹かれるものがある。

 

なんとなくこのホテルはどぎつい色彩の照明で、中は薄暗く、前時代的な内装なのだろうという想像が膨らむ。頭に浮かぶのはとても映画的な映像で、ジム・ジャームッシュの映画の色調に似ている。登場人物たちは何か悟ったような諦めたようなセリフを口にし、亡霊のようにこのホテルと同化しながら存在している。そんな感じの情景。

 

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この曲は麻薬のことを示唆しているという解釈があるそうだが、確かにこの曲の雰囲気は、そういった身を滅ぼすものへと向かう衝動の破滅的な美しさがある。とにかく全部が全部、病的だし暗いし狂気的だしで、こういう抑圧された曲調が非常に俺の好みに合うのである。

 

敬愛するつげ義春の漫画には「私 怖いわ あなたの性格って自分で自分をダメな方へ追い込んでゆくんだもの」というセリフがあるが、駄目だと分かっていながら駄目な方へ駄目な方へ向かっていく人間の有様は何故にこうも人を惹きつけるのか。毒のある作品ほど人の内部に突き刺さるということか。惹かれるだけならまだいいが、自分自身がそうなってしまうともうおしまいで、虚構と現実の区別はつけなければと思うが、俺はすでに駄目駄目なところにずっぽりと嵌まり込んでいて手遅れである。