間違い電話の向こう側

芸術・その他雑記

ホラー映画の幽霊

日本のホラー映画を見ていると、それに登場する幽霊が様々な超能力を使うのが当たり前になっていて、怖さよりも「こいつら一体何者なんだ」という部分に興味が湧いてしまう。

 

有名なところでは、「リング」の貞子が念写によってビデオテープに映像を記録したり、テレビの中から這い出てくるなどという手品師のような芸当をやってのけた。貞子は生前から超能力があったという設定なので、死後もそのような力があるということに一定の説得力があるが、その後のホラー作品では、生前ただの一般人だったはずの幽霊までそのような力をこぞって使い始め、超能力のバーゲンセール状態となった。

 

自分が見たものの中で思い出せるものを挙げてみると、

 

・瞬間移動
・壁をすり抜ける
・空中に浮く
・分身
・他の人物に化ける
・人間に取り憑いて操る
・周辺から人払いをして標的を隔離する
・標的に幻覚を見せる
・新種の病原菌を生み出す
・電子機器にノイズを発生させたり、電波妨害をする
・遠隔操作でドアの鍵を開け閉めする
・昼でも周囲を夜のように暗くする
・車のエンジンをかからなくさせる

 

などの超能力を使うケースが見られた。

 

貞子の場合、純粋に呪い殺したいというのが目的なので分かりやすいのだが、その他大勢の幽霊になると、これらの超能力をふんだんに用いて標的を精神的にいたぶったくせに、最終的には「ばあ」と驚かすだけで満足して帰宅し、「・・・そのあとのことは覚えていません」などという語り手のモノローグで次のシーンに移ってしまうことが多い。これは一体何が目的なのかと思う。

 

貞子や伽椰子のような凶悪な幽霊はともかく、「ばあ」で満足するタイプの幽霊は、見た目が怖いだけで、実は単なるかまってちゃんなのではないか。「誰でもいいから呪い殺したい」みたいな強烈な願望を持っている人だけでなく、「かまってほしい」ぐらいの気持ちの人まで現世に残留されるのはちょっとどうかと思うので、特に強い目的がないのであれば早めに成仏してほしい。