間違い電話の向こう側

芸術・その他雑記

読書

歪められた「アリとキリギリス」の気持ち悪さ(2)

1の続き。 金をなんのために稼ぐのかと言えば、使うために稼ぐのであって、先ほども書いたように、貯めこんで安心するだけというのは下の下である。自分はずっとキリギリス人生まっしぐらだが、金を全く稼がなくてもいいとは思っていないし、むしろ何らかの…

歪められた「アリとキリギリス」の気持ち悪さ(1)

星新一の小説を読んでいたら、イソップ童話の「アリとキリギリス」を改変した話があって、そういえば自分はこの物語が好きではないなと思った。 子供の頃にこの物語を読み聞かせられたことがあったかどうかよく憶えていないが、とにかくこれは「キリギリスみ…

思い出に苦しむひと 2

過去の読書ノートより抜粋。 前回の記事からの続き。 今読んでいるのはヘッセの「人は成熟するにつれて若くなる」という本。「クヌルプ」よりも後に書かれた随筆集で、テーマは繋がっている。「クヌルプ」がヘッセの30代後半の作品で、今から老いを迎える…

思い出に苦しむひと 1

過去の読書ノートより抜粋。 ヘルマン・ヘッセの「クヌルプ」という小説を読んだら、自分が普段抱えている雑念と重なるテーマが取り扱われていて、随分と心を揺さぶられた。 この小説の主人公クヌルプは、住所不定の放浪生活をしている人間で、各地を転々と…