間違い電話の向こう側

芸術・その他雑記

芸術

ありふれた唯一無二

川で拾ってきた石を眺めていると、そこらに落ちている石ころですらこんなに良い姿をしているのに、俺ごときが絵なんか描く必要があるのだろうかと考えてしまう。俺はただ余計なものを生み出しているだけなのではないか。 陶器や石や壁や古道具など、時を経た…

絵を売る

ネット上には作家が絵を販売するためのサイトがいくつかあるが、それらのサイトの状況を眺めていると、「アートをどこまでも大衆化していくとどうなるか」という社会実験を見ているような気分になった。 それらのサイトの大半は薄利多売に傾斜していて、買い…

ギャラリーに対して思うこと

自分は大阪に住んでいて、よく近県のギャラリーを見て回っているのだが、いつも思うことがある。それは、ウェブサイトがあまりにもいい加減な店が実に多いということである。 デザインがださかったり見づらかったりするところもあれば、全然更新していなくて…

無用の美

銅版画をやったり陶器を集めたり、自分の興味が科学技術の進歩とは正反対の方向へどんどん向かっているのを実感する。例えば、お茶を飲むコップにしても、今は真空断熱構造のコップが1000円ぐらいで売られていて、そのコップだと中の氷が丸1日溶けずに…

壁を見る

少し前に杉浦貴美子という人の「壁の本」という本を買った。タイトルのとおり、壁の写真を集めた作品集で、ずっと前から欲しかった本である。絶版のようでなかなか手に入らなかったのだが、最近やっと購入することができた。 最近は描きたい絵が抽象画に接近…

お客様から抜け出せないアーティスト2

1の続き。 結局、貸しギャラリーとは何なのかというと、企画ギャラリーに拾ってもらえない有象無象の作家の受け皿であって、これがあるからこそ、お前のような中途半端な人間が作家のふりをできるんだろと言われたら返答に詰まる。事実、日本は美術市場の規…

お客様から抜け出せないアーティスト1

芸術なんかにあまり興味がないという人にとっては、芸術家の展覧会というと、基本的に美術館や百貨店で開催されているもののことを想像すると思う。しかし、そのような場所で展示ができるのは評価や知名度のある作家だけで、大多数の作家は美術館や百貨店で…

「福岡道雄展 つくらない彫刻家」感想2

1の続き。 FRPの板の上に「何もすることがない」とか「私達は本当に怯えなくてもいいのでしょうか」といった言葉を延々と写経のように刻んだ作品郡については、この作家が創作という行為に縛られ、自縄自縛の状態で吐き出した怨念のようなものを感じた。こ…

「福岡道雄展 つくらない彫刻家」感想1

現在、国立国際美術館で開かれている「福岡道雄展 つくらない彫刻家」を見てきた。アーティストトークにも参加し、作家本人の話を聞くことができた。聞き手の松井智恵氏との金玉トークなども盛り上がって、大変聞き応えがあった。 撮影可の展示室にて撮影 自…

無自覚にパクることの恐ろしさ

先日、自分が過去に作った映像作品を何気なく見返していたら、その中の1シーンが、某有名アニメの1シーンのパクリであることに突然気付いた。変な汗が出た。 自分にはパクろうという意志は欠片もなかった。本当に全くなかった。無自覚にパクってしまったの…

作品をどう見てほしいか

前回の続き。 アートフェスに行って、そこに出展している海外の作家の作品を見ていると、彼らは大抵たどたどしい日本語で積極的に自作の魅力をプレゼンしてくる(若干引くほどに)。どうも海外では作家がプレゼン能力を磨くのは当たり前のことで、寡黙にして…

言葉にできない

今現在、自分のところには何故か文章の依頼が来ていて、提出期限はとっくに過ぎている。依頼などと言うと大袈裟に聞こえるが、何だかよく分からん自費出版の雑誌に、自作についてのちょっとした文章を書いてくれと知人に頼まれただけのことで、金も貰えない…